地方公務員に向いている人とは

「地方公務員の仕事」にどんなイメージをお持ちでしょうか?

 

窓口で住民票を発行、許認可、助成金、徴税・・・などなど思いつくと思います。

 

僕はかつて地方公務員でしたのでその実態はそれなりにわかっているつもりです。

 

地方公務員の仕事は非常に多岐に渡り、生活のほぼ全ての分野を網羅しています。

政令市や都道府県レベルの役所だと、部署の数は300程度はあると思われますし、海外に事務所を持っている自治体もあります。

 

しかし非常に多彩な分野を対象にしている反面、実際の仕事内容はとても定型的です。

僕が以前の記事で「やりたい仕事がない人」が公務員に向いていると書いたのはそのためです。

 

実際の仕事内容とはなにか?

ざっくり言うと「お金の出し入れ」、「規則との照合」、「数字の確認」、「書類チェック」、「書類作成」と、こんなものです。

もちろん扱う規則や数字の名目は、担当分野によって異なりますが、言ってしまえば違いはそれだけなのです。

 

一般に、公務員は2〜3年で部署異動します。

多岐にわたる分野をほぼランダムに行き来しますので、その分野の専門知識なんて身につきません。水産課→税務課→教育委員会→福祉課→土木課→議会事務局などといった具合に異動し、前にいた部署の知識はほぼ役に立ちません。

その部署にいる職員は、全員その部署の経験が3年以下の素人集団なのです。

 

そんなに多岐にわたる分野を異動して仕事になるのか?と思われるかもしれませんが、仕事内容の内容は前述したように、名目は違えどやることは同じなので、まあなんとかなるのです。逆に言えば素人がやれるようなことしかやっていないのです。

作業内容自体は単純なのですが、ただ規則を調べたり、その数字がどうやって算出されているのか調べるのに時間が掛かったりコツが必要だったりします。

 

 

地方公務員になりたいと思っている人は、具体的に何をやりたいのでしょうか?

観光に携わりたい、経済を活性化させたい、福祉を充実させたい・・・など色々あるかと思います。

僕もありました。

 

だけれども、実際その分野に携われるのは、40年務めるとしてもたった3年です。もしかしたら全く携われないかもしれません。

しかもやることは非常に事務的で、政策立案は首長(政治家)がやるし、実際の専門的業務は外部に委託します。なので、観光部署に配置されてもやることは委託契約事務なのです。

 

なので明確に「これがやりたい!」という熱い思いを持っている人は期待外れな人生を送ることになるでしょう。

いかんせん僕がそうだったのですから。

僕は地域経済の活性化に携わりたいと思って公務員を目指し、大学時代もその分野の知識を培ったつもりでした。

でも実際はそんな知識なんていらないのです。

いってしまえば、公務員に必要な能力は「読み書き算数」これだけです。

 

そんなわけで、公務員に向いているのは「やりたいことがない人」ということになります。

さらにいえば数字合わせが好きな人や、細かい書類のチェックが好きな完璧主義な人が良いでしょう。

 

念のためですが、自分が言うのも変ですけれど、公務員になる人は非常に優秀で、何より真面目な人が多いです。

全く知識がない分野に配属されて、何言ってるかわからない問い合わせが来てもうまく受けられたり、嫌がらせと思うほどの書類チェックを日々こなしているわけですから。

 

それだけに、そんなに優秀な人に何も生み出さない書類チェックや機械的な作業を40年もやらせるのはとても大きな損失だと思うのです。

 

世の中の公共政策に対して熱い思いと能力を持ち合わせている人は、公務員よりも大学教授などの知識人を目指すことをオススメします。

いかんせん役所は素人集団なので、外部の有識者に意見を求めることがよくあります。

その方がよほど世の中に貢献できるでしょう。

 

公務員に限らず、日本の組織は専門的知識を持つ人を内部に置くことが嫌いのようです(いわゆるゼネラリスト的な人材を好む)。

 

僕としては、これが日本衰退の要因の一つだと考えます。